お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|③石材の価格(前編)

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石材の価格

石材の価格について

お墓の材料は石材が主流であるものの、石材と言っても日本の石や外国の石を合わせると100種類以上あります。

そんな数多くある石材の価格についてお客様から頂く疑問やお悩みは以下のご意見が多いです。

  • 石を選ぶ際の基準がよく分からない
  • 高い石の方が、安い石よりも品質が良いの?
  • 石材の価格相場を知りたい
  • 日本の石は高そうだけど、どれくらいだろう?
  • 良い石を、かしこく選びたい

石材店は、石の特性や耐久性、価格などを踏まえてお墓に適しているものをお客様におすすめします。

その中でも重要なポイントである、石材の価格についてご紹介させて頂きます。

お墓を建てるのに必要な費用の簡単なまとめ

本投稿はお墓の価格のうち、石材の価格に関する内容ですが、まずはお墓を建てるために必要な費用について簡単にまとめます。

言葉があいまいになるのを防ぐため、「お墓」とは「墓地」に「墓石」を建てたものと定義させて頂きます。
お墓を建てるためには墓石本体と墓地が必要

「墓石」の費用をさらに分類すると、「石材費」と「工事費」があります。
墓石に掛かる費用は、「石材費」と「工事費」

「石材費」は、さらに3つに分類されます。
石材費は、さらに3つに分類されます

お墓の価格をどんどん細分化していくと、色々な要素が入ってくるため、どんどん複雑になってしまいます。

本投稿では、このうち墓石本体の「石材費」についてご説明いたします。

◆◆◆お墓の価格についての参考となる投稿は、こちらからどうぞ◆◆◆
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|①概要】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|②墓地の永代使用料】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|④石材の価格(後編)】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|⑤工事の価格】

石材の費用を決める5つの要素

石材の費用を決める、5つの要素は以下の通りです。

  1. 石材の量・・・お墓に使う石の量が多いほど高く、少ないほど安い
  2. 石材の種類・・・希少な石材ほど高く、たくさん採れる石は安い
  3. 加工の場所・・・日本国内加工は高く、中国加工は安い
  4. 加工の形状・・・複雑な形状ほど高く、簡単な形状ほど安い
  5. 仕入れルート・・・中国の工場から直接仕入れた方が安い場合が多い

1.石材の量

石材の量は、使う石の量が多いほど高く、少ないほど安いです。

使用する材料が多いほど、金額も上がるというシンプルな理由です。

例えば「8寸和型」より「9寸和型」の方が、お墓としては大きく使う石の量も多いので、金額が高くなります。

同じ石、同じ「8寸和型」なのに価格が違う?

「8寸和型」のお墓の価格を色々と比較しようとするときは、同じ「8寸和型」でも石の大きさがまちまちですので、単純には比較できない事に気を付けてください。

同じ「8寸和型」でも大きさが違うと価格が違います

建ててみると思ったより大きかった、小さかった等を防ぐために、できれば実物を確認できると良いと思います。

また特殊な例として、一部の高級石材では、キズやムラ、タマが出やすい等の理由から、大きさが大きいほど割り増し料金の掛かる場合があります。

石が取れない場合には、大きさの制約もあります。

和型より洋型の方が安い?

和型より洋型の方が安い?
インターネットなど色々な情報を調べていると、和型よりも洋型の方が安い場合が多いです。

これは、和型より洋型の方が石の量を少なくして設計されていることが多いからです。

実際に洋型を建てようとすると、やはりそこそこの大きさが欲しいとなると、かえって石の量が多くなる場合もよくあります。

ただしお墓の大きさに自由が利くのは、どちらかと言えば洋型です。

和型の場合は、ある程度の大きさが決まっていますので、できるだけ安価に作りたい場合は小さめの洋型にするのが一番価格が抑えられると思います。

2.石材の種類

石材の種類を、産地別に以下のように4つに分類します。

  • 日本産
  • 中国産
  • インド産
  • その他外国産

大まかな傾向として、中国産が最も安価であり、次にインド産やその他外国産が安価、日本産が高価です。

もちろん1つ1つの石を細かく比較すると、日本産の石よりも中国産の石の方が高価になる場合もあるので、全ての石について当てはまる訳では無い事をご了承ください。

最も安価な石はG603やG623等の中国産の石で、最も高価な石は庵治石と呼ばれる、香川県高松市で採れる石です。

庵治石について詳しく知りたい方は【庵治石の価格や特徴。世界一高価な最高級墓石材について】をご覧ください。

価格の相場として、当店周辺でよく建てられる8寸和型のお墓では安価なものですと30万円前後から、高価なものですと400万円ほどまで値段に幅があります。

なぜ石の種類が違うと価格が大きく違うのか?

石の種類によって価格が違うのは、大きく以下2点が関係しています。

  • 希少価値
  • 採石コスト

希少価値が高い石は、そもそも年間に採れる石の量が少なく、人気のあるため高価になります。

採石コストについては、採石する人件費であったり、材料の歩留が関係します。

歩留とは、採った石のうち製品になる石の割合です。キズや石ムラ、タマの多い石は、採っても採っても廃棄するばかりで、製品になるのはほんの数%という場合もあります。庵治石などが該当します。

以下は日本の採石場です。日本の採石場の中でも規模が大きい部類に入ります。
日本の石材を採掘する山です

以下は中国の採石場です。日本の採石場と比較して、規模が全く違います。これだけたくさん採れると、安価になります。
中国の石材を採掘する山です

つまり石の価格を決めるのは、希少価値と採石コストであり、高価な石が品質が良いとは限りません。

品質の良い石は人気がありますので、希少価値があがりますが、品質が良くとも安価な石もありますのでお近くの石材店様にお問い合わせください。

3.加工の場所

日本のお墓を加工している主な場所は、日本、中国、インド、ベトナムの4か国です。

その中でも中国加工が圧倒的に多く、現時点では日本で建てられるお墓のうち、少なくとも8割を占めています。(2015年時点)

日本の石であっても中国で加工されることがほとんどです。その理由は以下の2点です。

  • たとえ中国で加工しても、日本の石であれば「国産」と表記できること
  • 日本と比較して加工の費用が安いこと

以下は中国の工場へ検品に行った時の写真です。非常に規模が大きくたくさんの人が働いています。日本ほど設備が整っておらずホコリの舞う工場もあります。人件費が安いので、ものづくりの考え方が日本とは少し違います。
中国の工場

以下は日本の工場の写真です。中国に比べて規模は小さいです。以下の写真は蓮華加工を施した台石を製作している様子です。
日本の工場

4.加工の形状

加工の形状は、複雑であるほど費用が掛かります。

例えば以下の写真は「蓮台」と呼ばれる加工です。蓮の花のように加工するこの形は、加工に技術を要し、時間もかかるため費用が多く掛かってしまいます。
お墓の蓮台

日本で加工する場合には、洋型やデザイン型などでは、曲線や凹凸が多いほど加工費が高くなります。ただし中国で加工する場合は、加工の複雑さ(加工時間)にもよりますが値段がそんなに変わらない場合が多いです。

中国の人件費は、日本に比べてとても安いので、複雑な加工であっても追加の加工料金が不要な場合があります。

5.仕入れルート

石材を採石場で採ってから、お客様に届くまでの流れと、それに伴うお金のを以下の図にまとめました。
石材の流れとお金の流れ

石材の流れ

まずは、石材の流れについてご説明します。採石場で採った原石は、加工場に送られます。加工場では、お墓の外形を作り石を磨きます。その後、文字彫刻工場で法名や南無阿弥陀仏などの文字を彫刻をします。

加工が完了したら、墓石は墓地で工事を行う施工業者へ送られます。施工業者は加工場から届いた石を、現地で建て上げます。

原石を採石する業者と加工場は同じ会社である場合があったり、文字彫刻加工の業者と現場での施工業者が同じである場合があります。石安は後者です。

数は少ないですが、業者によっては石材の採石から加工、施工までを一貫して行う場合もあります。

一般的には、お客様に届くまでに関わる業者が少ないほどコストが掛かりません。

お金の流れ

次に、お金の流れを見ていきましょう。

非常にシンプルな石材の流れに比べて、石材が採石場からお客様に渡るまでには多くの業者が関わります。もちろん石の種類ごとに関わる業者の数は違います。

こちらも一般的には、お客様に石材を届くまでに関わる業者が少ないほどコストは掛かりません。

一番コストの掛からない方法は、採石場からお客様に届くまでを1つの会社で済ます事です。

しかし石の採れる山は世界各国にありますし、1つの会社ですべてを網羅することは現実的ではありません。

現実的には、コストを下げるためには中間業者をなるべく少なくする事だと思いませんか?

実はそれもまた、一概には言えません。なぜなら仲介業者が大量に仕入れる事で、一般の業者よりも採石場から安く石を仕入れることができる場合があるからです。

もちろん山から直接仕入れた方が安く済む場合もあります。ただ石の仕入れというのは非常に難しく、石の色合わせやキズやタマ、ボタの排除など品質面も考える必要があります。

年間に何千とお墓を建てる業者なら話は別ですが、一般の販売店で山から直接仕入れるのは品質面と両立させようとすると、無理があります。

コストの面だけを考えれば中間業者を少なくした方が良いのですが、品質を考えると、どうしても中間業者様が頼りです。

品質を確保するために販売店だけで中国まで検品に行ったり、採石場まで石を見に行ったりということもできますが、コスト面だけ見ても中間業者様を通した方が良い場合の方が多いです。

参考までに当店の場合は、以下のような箇所での役割を果たしています。工場を持っていて現場で施工もするような石材店様は、このような構図が多いのではないでしょうか。
石材の流れとお金の流れと石安の役割

おわりに

最後までご一読下さりありがとうございました。

お墓の材料は石材が主流であるものの、石材と言っても日本の石や外国の石を合わせると100種類以上あるため、どれを選べばよいのか分からない、なぜこんなに値段が違うのか分からないとお悩みの方がいらっしゃいます。

そんな方にとって、有益な情報をお伝えできていれば幸いです。

おさらいすると、石材の価格は以下の5つの要素が大きくかかわっていることをお伝えさせて頂きました。

  • 石材の量
  • 石材の種類
  • 加工の場所
  • 加工の形状
  • 仕入れルート

石材の価格の仕組みについて、さらに詳しく知りたい方や、疑問のある方、個別の状況に合わせて知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

◆◆◆お墓の価格に関するその他の情報は、こちらをどうぞ◆◆◆
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|①概要】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|②墓地の永代使用料】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|④石材の価格(後編)】
【お墓の価格(値段・費用)の仕組みと相場|⑤工事の価格】

  

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